双子悪魔のホームステイ


「……わたくしは、泣き虫でうざったらしい夫に好かれて不幸ですわ。」


髪を左手で掻き揚げながらピシャリと言うロールに、閻魔はそんな殺生なと嘆く。



「し、しかし、誰を行かせるというのだ?あ、あまり、手荒な真似をする者は……」


「心配しなくとも、わたくしの部下の中に粗野な者は居ませんわ。皆、美しくて良識ある者ばかりです。そうですわね……あの者を行かせましょうかしら?」


前半は閻魔に向けて後半は独り言のように言ってほくそ笑むロールだった……。












(はあ……どうしましょう、これ?)


梅雨に入ったばかりで、雨が降り続き、空に暗雲立ち込める日の夕方。

真面目一筋な高校一年生の棉葉 結祢は、自室で福引きで当たった一枚の無料チケットとにらめっこをしている。


茶色い三つ編み髪は窓からそよぐ風にふわりと靡き、黒い瞳は券だけを映していた。

左手には、何かの願掛けなのか、ミサンガが付けられている。
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