双子悪魔のホームステイ
「は、はあ。ありがとうございます。」
微笑んで誉める星駆に、結祢は苦笑いで応えた。
(星駆君……天然なのかわざとなのか。相変わらず、何かズレてますね……。)
「ところで……悲鳴の原因、何?」
「あっ、えっと……何でもないです!日頃の鬱憤晴らしに叫んでみただけです!」
急に話を戻され、結祢は慌てて嘘をついた。
それというのも、星駆は昔から悪魔といった類の魔物が嫌いなのである。
不用意に“悪魔”と口走った友達に殴りかかろうとしたほどだ。
以来、星駆の前で悪魔の話をしないという暗黙の了解ができている。
「何でも無いなら、いいんだけど。朝食作らないといけないから、また後で学校でね、結祢ちゃん。」
「は、はい!わ、私も学校の準備しますので!また後で!」
手紙を星駆に気づかれる前に、と結祢は慌ただしく自宅に走っていく。
「……変な、結祢ちゃん。やっぱり、持ってたあの手紙、何か書いてあったのかな。」
彼女の姿が見えなくなってから、星駆はぽつりと呟いて歩いて自宅に戻るのだった……。