僕等のレイニーデイズ
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「それでね!ほんと馬鹿なの!璃久斗が黙るから……」



「……も~、うるさい!」




金切り声を上げて
あたしの親友の真田彩は
0.3のシャープペンシルを
高く宙に投げた。



「そないに好きならその
 璃久斗とか言うのと
 結婚でもなんでもしたら!?

 …お気楽そうやけど
 あんたわかってんの?

 あたし等、もう
 受験生なんだからね」




……それはわかってるけど。

言ってることは最もなんだけど『結婚したら』の下りがなんか幼くてあたしはクスリと笑みを漏らした。



「……あんたね~…」



キッと一回睨んだ後、真田はすぐにふぅと息を吹いて、肩をボキッと鳴らした。

それから、人が変わったようにだらんとイスにもたれると、あたしの手にあったじゃがりこを数本奪った。




『人が変わった』んじゃなく

正式には

「らしくなった」んだけど。




受験を前にして、それはあたしのまわりだけじゃないけど、
最近はみんなピリピリしていてつまらない。


(刺激がほしい……)


だけどあたしは無駄に大人になってしまったから、本当は内心半分諦めている。


それを自分で気づかないフリして夢を重ねるんだ。


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