僕等のレイニーデイズ
靴を履きかえて、玄関から出て少しコンクリートでできた屋根がでっぱっているところ。
(………?)
そこに、横顔の綺麗な男の子。
虚しさで気持ちがいっぱいだったあたしは、靴を履きかえて、そこに出る直前まで気がつかなかった。
(なに、してるんかな)
気づかれないように、なんて、微塵も考えずに頭をひょっこり玄関から出した。
雨が降っていて、
だれもいなくて、
雨独特のにおいと薄暗い空間。なんか不思議な気分。
「…………ぅわ!」
男の子はあたしの視線にやっと気がついたのか、驚いて肩を跳ねさせた。
「あ、」
あたしは何も考えずに行動したわけで、つまり、もしもこうなったときの対応について、勿論なにも考えていない。
(……あぁ、そっか)
男の子は驚いてしばらく固まった後、慌てた様子で耳から白いイヤホンを抜いた。
シャンシャンと、白いそれからもれている音が、その音量の大きさを表していた。
物音にすら気づかなかったのはだからなのかと一人納得する。
……呑気にこうしている間にもふたりの間に時間は流れているというのに。