僕等のレイニーデイズ
『日直』ってことはもしかして紗由と彼が一緒に日直ってことで、つまり二人は同じクラスでそうすると彼は隣のクラス?
とか
得意な妄想が泡の如くモコモコとどんどん膨らんでいく。
重なった言葉に、お互いなかなか続きを話し出せなくなってしまった。
「…………」
「…………」
「?なに?ふたり、知り合い?てかこの空気なんなん?」
笑いまじりにそう言う紗由が、あたしと彼の背中をバシバシと叩いた。
「いって」
「なになになに~!え?おい、わけありな感じっすか~?」
「ちょ、紗由―――」
バチッ
彼はあたしと眼が合うと、どこか気まずそうに目線を反らしてしまった。
胸がズキンと痛んで、身体中から一切の体温がひいてしまった感覚がする。
(苦しい……)
あたしは今、どんな顔をしてるだろう?
湿った空気が漂う玄関で、行き交う生徒達の中で、立ち止まっているのはあたし達だけ。
顔の筋肉が引き攣っているのがわかって、余計にどんな顔をしたらいいのかわからなくなってしまう。
もう彼の方を見ることもできない。
……俯いて、それなのにまだ、顔が変な感じがする。