僕等のレイニーデイズ





―――バカ、あたし。

相良くんは、答えなかった。

「答える」としか考えてなかった頭に、悲しくなる。
無駄に期待するのは、よくないことなのに。




「あ、そこ?真妃琉のベッド」



ドキッ



あたしはとっさに、どうしてだか自分でもよくわからないけれど、布団に潜って寝たフリをしようとした。

でも、あまりに急なことで、体が動かない。



(っ)
















「ちょ、何」


どいてよ、と紗由が言ったのと同時か、あるいはそれより少し前か。

白いカーテンが、ゆれた。




「触んな。バカがうつるから」


「バカはうつらんわ!
……ってちゃう!どいて!
うちは真妃琉に……」


「だからうるさいってば。
岡本さん寝てんだよ?」




カーテンの外でなにが起こっているのか、あたしには見えないし、わからない。

だけど。



(どうしよう……)



無駄に期待するのはよくない。わかってる。わかってるのに。




なのにどうして―――



相良くんの優しさが、あたしを苦しめる。



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