夜空と夜桜





「行こ、夏琉ちゃん」





だけど、あたしを見るときの目はいつでも優しくて暖かい





…この違いは何だろう





萩原さんがあのときの髪がはねた男というのは、未だに信じられないけど…





「くそったれ!」





あたしの腕を掴んで、歩き出す萩原さん





後ろから、健の暴言が聞こえる





あたしは、健から見えなくなるまで来ると、一気に緊張が解けて足の力が抜けた





そのまま地面に座り込む





「…夏琉ちゃん!?」





萩原さんが心配そうにあたしを見る






「…安心したら、足の力抜けちゃった





ごめん、大丈夫だから」





あ、泣きそう…









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