夜空と夜桜
朔夜の過去
「…車の中で話そう」
いつの間にか、萩原さんの車に着いていた
あたしは、無言で車に乗る
車の中は萩原さんの香水の匂いがした
「…俺、親に捨てられたんだ」
萩原さんの言葉にあたしは反応する
「え……?」
そんなあたしを見て、萩原さんは悲しそうに微笑んだ
「俺の親は10代で俺を産んだ
父さんは、俺と母さんを養う為に一生懸命働いた
だけど、そのうちギャンブルとかにはまりだしてさ…
借金まみれになったんだ
それで…会社をクビになって、父さんは俺と母さんを置いて出て行った
…きっと、耐え切れなくなったんだと思う