夜空と夜桜
安心する場所
「夏琉ちゃん?」
ふいに話しかけられ、我に返る
「え?」
萩原さんが運転席のドアを開けてあたしを不思議そうに見ていた
「着いたんだけど」
…全然気づかなかった
「う、うん」
あたしは急いで車を降りる
「どうしたの?
…帰りたくなった……?」
少し寂しそうに言う萩原さんにあたしは慌てる
「そうじゃなくて!
…ここ、どこなのかなぁって思って」
慌てたことが恥ずかしくてだんだん声のボリュームを下げていったあたしに萩原さんは微笑んでくれた
「さっきのとこから、そんなに離れてないところ…
って言ってもわかんないよね」