夜空と夜桜
5分もしないうちに、恋歌は静かに寝息をたてた
相当、疲れたんだろう
「あ、友達寝ちゃった?」
男が、こっちをチラッと見てそう言ったので、あたしは頷いた
「じゃあ、これ使って」
助手席に手を伸ばして、男は何かを掴み、後部席にいるあたしに渡す
「毛布…?」
男があたしに渡したのは、フワフワの毛布だった
「俺、車の中で寝ることが多いからさ」
苦笑してそう言った男に、溜息をついた
「仕事がホストだから仕方ないかもしれないけど、ちゃんと寝ないと、体こわすよ?」
「お?心配してくれてんだ?嬉しいな~」
「…別に」
ただ、世話好きなだけ…
「あ、そうだ…
名前聞いてなかったよね?」
「自分から名乗るのが礼儀なんじゃない?」