悪魔? or 天使?(上)




小学校の頃の図工の時間を思い出す。



その日は確か、親の顔を描きましょーみたいな時間で、

あたしは素直にあの人の顔を描こうとした。



ところがそれが4年生の時だったから

あの人はすでに死んでいて…



あたしは暫く叔母の家に住んでいたんだ。



だからなかなかあの人の顔が思い浮かばない。



周りの子は意気揚々と絵を描き上げていくのに、

あたしだけ時が止まったように紙は白紙のまま。



見かねた先生が『叔母さんの顔でもいいのよ』みたいなことを言ったんだ。



でも、子供って言うのは残酷だ。



さっさと描き終わって暇を持て余していた一人の男子があたしをからかい始めたのだ。



『“おや”なし』


『みれいの母ちゃんは“しんだ”んだって』


『おまえのははおや、ちちおやを“ころした”んだろ?』


『“ひとごろし”のむすめだ』


『ねーちゃんも“じさつ”したんだぜ』



やめろ。



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