悪魔? or 天使?(上)
その門を前にして、あたしの足はまた言うことを利かなくなった。
「ここー?」
悪魔はあたしを気にも留めず、
その家を見つめる。
「…ふ~ん…なんか金持ちそうな家だねぇ…
どうでもいいけど。んじゃ、ありがとねー」
遠ざかるその背中を見つめながら、
あたしは何もすることができない。
歩くことも、その背を追いかけることも、
立ち上がることさえできない。
悪魔の言う、虫けら以下。
人間にもなれない。
虫にもなれない。