ライムの匂いのする方へ
「帰るね。」
玄関へ向かおうとしたわたしの腕をつかむ。
「はなし…
まだだよ。」
そういってソファーに連れ戻される。
逃げないようにか
腕を絡ませている。
「なんで無理なの?」
「だって好きな人と付き合いたいし、
わたしのこと好きでいてくれる人と付き合いたいし。」
「俺はすきだよ。
ゆりは俺のこと嫌い?」
「好きだけどそういう好きじゃないし。
それに涼は好きだから付き合うんじゃない。
付き合いたいから好きって言うんだよ。」
「でも今回は本気だって。」
「それ何人にいったの?
とにかくわたしは付き合う気ないから。
わかった?」
返事がない。
「わかったなら帰るね。」
そう言って立ち上がろうとした時だった。
「本当にいいの?」
(え?)