スカイハイ
「こんな小さいスタジオに捕われてるだけじゃ、俺は満足できない」
「そっか」
ヒロくんの口調でわかる。
笑顔なんだろうな、今のヒロくんの顔。
「だから、もっとデカイとこに行くんだ。ロケもこれからもっと多くなるし」
「そうだね」
ヒロくんの前で泣いちゃだめなのに、涙が出そうになる。
ヒロくんは夢を追ってるのに、
私には何にもない。
私はただヒロくんを追ってこの世界に来たけど、それは私の夢じゃないんだ。
「じゃあ、私、帰るね」
「ちょっと待てよ」
勢いよく、私の肩を掴む。
その瞬間、よろめく。
一気にヒロくんとの距離が近くなって、後ろを振り向いてヒロくんを見る。
でも、ヒロくんはなかなか喋らない。