スカイハイ

「ヒロくん、何？」
もう私は辛いよ、逃がしてよ。
「…………」
「ヒロくん？」
「…………」
「ヒロくん？」
「…………」
問い掛けても、彼は答えてくれない。
もう聞くのも嫌になって、ヒロくんから視線をそらし、俯いていた。

「………なぁ」
ヒロくんがやっと喋った。
だけど、口から出た言葉は思ってもいないものだった。



「お前、あの、ワタベ…って言う奴が好きなのか…よ」



私はヒロくんが何を言いたいのか、よく分からなかった。
なんでヒロくんがワタベくんの事、知ってるのとか、なんでそんな事を聞くのとか。

頭が混乱してて、
何も言えなかったんだ。