スカイハイ
「コレ何?…渡部 シンジ、大学生って、これワタベくんの……」
コレ、ワタベくんの学生証明書だ。
「届けなくちゃ!…だけどいない」
ワタベくんは走って行ってしまった。声もしないし、今ワタベくんがどこにいるか分からない。
悩んでみたけど、後で合流するし、後で渡せばいいと思った。
私はその学生証明書をポケットに入れて、ココアを買った。
そういえば、早く行かないと冊子を読む時間がなくなってしまう。
さっきと同じように、私はまた小走りでスタジオ内に入った。
ちょうど、イスがあった。
誰も使ってないみたい。私はそこに行き、腰掛けて冊子を読み始めた。
「新入りアシスタントさーん」
私の大好きな声が私を呼んだ。