スカイハイ
「いってー……」
ヒロくんが呆気に取られて油断してる隙に、玄関の外に飛び出した。とぼとぼと歩きながら思い返す。あれは……あのヒロくんは私に何をしようとしていたんだろうか。よく見るドラマみたいだった……。まるでキスするみたいに。
ってそんなわけないじゃん。ヒロくんが“キス”なんてしてくれるわけない。
でもヒロくんは俳優だし役者だし、ドラマとかでキスシーンが出たら嫌な顔ひとつしないでしちゃうんだろうけど。
「あ、あれ。可笑しい……」
気がついたら涙が出ていた。想像したくらいで涙が出てくるだなんて可笑しい。
私は嫌になる程、ヒロくんが好きなんだと思った。でもそろそろ諦めないと。