スカイハイ
立ち上がって、急いでかばんを持ってここを早足で出た。いられないと思った。
泣きそうだったから。
表に出ると、方向が分からなくなってたけどとにかく早く抜けようと走った。
周りの音しか聞こえない。
信号を渡ろうとした時、目の前でクラクションが鳴る。あんまりにも大きな音で腰から力が抜けて座りこんでしまった。
「おい、大丈夫か」
好きな人の声が、聞こえた。
「ヒロ…くん……」
そのまま強引に私は手首を掴まれて、ヒロくんの車の助手席に乗せられた。
ヒロくんが乗り込むと、車は発進する。
「ここの通り、家と反対だぞ。お前は一体どこに行こうとしてたんだよ」
「……わかんない」
「って言うか、前田達は?」
「……わかんない」
「何泣きそうな顔、何があったんだよ」