スカイハイ
「わかんないよ!!」
私は車の中の小さなこの空間がいっぱいになるくらい大きな声で言った。
「何があったかなんて、わかんない……分かりたくもない、もう聞かないでっ……」
小さな私の脳みそじゃ、もういっぱいいっぱいで理解なんてできない。
「何で泣いてるだよ」
「…え、泣いてる……?」
気がつくと、私のスカートの上にはいくつもの半透明な斑点ができていた。
「少しずつでいいから、言えよ」
少しずつなら言えると思った。
「ヒロくんは知ってるよね前田先輩の事」
「……知ってるよ」
「前田先輩はお酒飲むと倒れちゃうんだ」
「……うん、それも知ってる」
「…キス、されちゃった」
私はとうとう言ってしまった。