スカイハイ
だけどこの頬を伝う涙はなんなんだろう。
仕事だって割り切らなくちゃいけないはずなのに、それなのに涙が止まらない。
「ヒロくん…追いかけて来てよー……」
仕事じゃないって、言いに来て。
好きだって言って、抱きしめて。
だけど、現実は思い通りになんかならなくて、ヒロくんは追いかけて来てくれないし、好きとも言ってくれない。
「レミ、早く家に入りなさいよー」
「あ、お母さん……」
仕事帰りのお母さんに歩いている私は追い越されていく。いつも残業で帰って来ない日のが多いのに、なんで今日は早いんだろう。
私が弱ってる時に限ってこうだ。いつもは親とも言えるかどうか分からない程会ってないのに。
なんか、泣いてちゃいけない気がした。分からないけど、進まなくちゃ。
「待ってよー!!」
私はお母さんの後ろ姿を追いかけた。