スカイハイ



時期もちょうどいいし、急いで企画書に書き込んで前田先輩にファックスしようとした。
だけど、戸惑う。
だってキスされたのに、触れるだけだけど、そんな事されて戸惑わないわけない。

息を落ち着けて、慎重にボタンを押す。緊張して指が震えて間違えてしまいそう。
押し終わると、ファックスを送って私の部屋に行って、ベットに倒れた。

ふと思い出した。
もうすぐ私の誕生日で、19歳になる。
ちょうど雑誌の企画を撮る頃と同じ時期。

「次の仕事で終わりにしよう……」

19年目に入る、長い長い片思いに決着をつけて、終わりにしようと決めた。

何だか嫌な予感がして、
私は振り払うように、逃げるようにして、目を閉じた。



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