スカイハイ



「……ったく」
ヒロくんはぶつぶつ言いながら、私の手を握った。そして私の指に指を絡めた。
「ちょ……普通のでいいからっ」
「何言ってんだよ、こうゆうのは細かいところまでこだわるの。じゃないと雰囲気が欠けるだろ」

ヒロくんの言う通りかもしれない。確かに雰囲気は撮影の上ですごく大切だ。
だけど、やっぱり恥ずかしいし。
「じゃあ行きますか」
「……うん」
人込みの中に、ヒロくんと入っていく。吸い込まれるように、入るといつもの関係とはちょっと変わる。

「なんかしたいのない?」
「あ…わたあめ食べたい」
「子供みてーだな……」
いつもの強引さが欠けて、優しくなった。優しくなったって言うより雰囲気が丸くなったって言う表現のが合ってるかもしれない。



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