スカイハイ



「あー、結局走っても濡れちゃったね」
「……そうだなぁ…あ、ケータイ」
ヒロくんが返事をした途端、ケータイが光り出した。メールだ、しかも前田先輩からのメール。
私は巾着から、ケータイを取り出してメールを開いて読み始めた。

「………え?」

信じられない内容が書いてあった。
「前田からメール?何て来たんだよ」
ヒロくんにケータイを取られた。その数秒後に、ヒロくんは無言で私にケータイを返してきた。
なんて言ったらいいか分からない。
「雨降ったから先帰るってないだろー……前田のヤツ、ハメやがって……」

前田先輩達は先に帰っちゃうなんて、聞いてない。行きもヒロくんと二人っきりだったのに、帰りも二人になるだなんて、そんなの考えてないし。
私の心臓がもたない……。って言うか“ハメた”って何を……

視界からヒロくんが消えた。



..
...



< 83 / 108 >

この作品をシェア

pagetop