スカイハイ



「やっぱりなんかあったんだね」
「何でっ…ないですよ、そんなの」
私は笑って、前田先輩の質問をごまかそうとした。
「いや、言いたくないんならいいけど」
「よかった……」
「やっぱりなんかあるんだね?」
前田先輩の言葉の罠に上手く引っ掛かかってしまった。

「本当に、言いたくないなら言わなくていいんだけどさ。ヒロが最近おかしいから。なんか壊れてるみたいな」
ヒロくんが壊れるなんてそんな事、あるわけない。キスしても“仕事”だけで片付ける、あのヒロくんが。

「どっかネジが抜けてるみたいなんだよねー、まぁアイツの事だから本当に壊れてるなのかは分からないけど」
そう言うと、前田先輩はフフって笑った。なんか、変な気持ちになる。
「……前田先輩ってヒロくんの事、好きなんですか?」



< 89 / 108 >

この作品をシェア

pagetop