スカイハイ
「……はい?」
前田先輩は一瞬固まって、瞬きを何回もした。信じられなかったみたいに。
「レミちゃん、何言ってんの?俺そんな趣味ないし。それに好きなコ、いるしね」
前田先輩に“好きなコ”がいるだなんて思えない。それこそ信じられない。
「今、レミちゃんと話してる時間だけでもいいから話したいなーって思うくらい、好きなコ」
そう前田先輩は言うと、ちょっと切なそうな顔をして言葉を繋げた。
「でもねー、仕事も忙しいし。最近あんまり話してないんだー。ヒロは仕事相手だし、友達だし、いじると面白いからよく話すだけなんだけど」
「前田先輩の好きなコって誰ですか?」
思い切って聞いてみる。
すごく、辛いみたいで、ちょっと重ねてしまった、今の自分を。
「……内緒」