スカイハイ



スタジオを出る時、
いつも使う自動販売機の前で、ヒロくんと誰かが話してるのが見えた。
反射的に、隠れてしまう。
そっとばれないように会話に耳を傾けた。
あれは確か…マネージャーさん。

「玉浦さん、決めましたか?」
「うん、もう決めた」
ヒロくん、何を決めたの?
「本当に、もういいいんですか」
ヒロくんは、頷いた。



「松田さん、俺はもうここには来ない」



……え………?
「本当にここにいなくていいんですか」
「もう決まっちゃったし。ずっとここにいても、俺の夢は叶えられないから」
何それ、何それ何それ何それ。
そんなの一言も聞いてないよ。
――カンッ
近くに転がってた空き缶を、気がつかずに蹴ってしまった。



< 98 / 108 >

この作品をシェア

pagetop