私と貴方を繋ぐ場所
第4話
両想いになってから一夜明け、私は悩んでいた。
「おっはよー!智花」
「あ……おはよう、英梨」
「なに?どうした?いつにも増して覇気がないよー?」
「英梨、どうしよう……どうしよう…」
昨日はあれから、松本君に家まで送って貰った。
学校から歩いて20分。
たった20分がいつもより長く感じたのは、彼氏となった松本君と沈黙が続いていたからだろう。
“送ってくれてありがとう”
この言葉を言いたくても、なかなか言い出せない私の代わりに、松本君が沈黙を破った。
「番号とアドレス、教えて。」
「ぁ、うん…」
お互いに赤外線で交換し合うと、
「じゃあ。」
とだけ言って松本君は帰ってしまった。
結局、自分から言葉を発せずにただ街灯の明かりに照らされる後ろ姿を見えなくなるまで見つめていた。
いつも通り、食事を済ませてから入浴。
自室で睡眠前のホットミルクを飲みながら携帯と睨めっこをした。
直接言えなかった言葉を、せめてメールでと思い文章を打った。
しかし、なかなか“送信”ボタンを押せないでいる。
10分たち、20分、30分と時間は過ぎ、結局メールさえも送れずに
朝を迎えたのだった。