私と貴方を繋ぐ場所
「うそ!まさか智花にこんなに早く付き合う事になるなんて!」
英梨は自分の事のように、キャーキャーしながら喜んでくれた。
「もぉ…どうしたらいい??」
「ちょっと~!そんなに浮かない顔しないの。」
「だって分からないんだもん…。帰り道一言も喋れなかったし…今日だって、会う約束はしてないけど…偶然廊下とかで会っちゃったら、どんな顔して会えばいいか…」
「別に喧嘩した訳じゃないんだからさ~。会ったら会ったで、ニッコリ笑って手振ってやればいいのよ!」
「そ、そんなこと、できないよ…」
「も~!!ウジウジしない!ほら、行くよ。今ならまだ間に合う!」
「えっ!ちょ、っと…どこ行くの?」
英梨は私の腕を掴んで走りだした。
着いたのは、体育館から部室棟を繋ぐ廊下だった。
「この時間ならちょうど朝練終わる頃っしょ!」
「ねぇ、やだよ…教室行こう?」
「ばっかじゃない?あんた1人で彼と会うなんて無理そうだから、この私が付き添ってあげるんでしょうが!それとも何?智花1人で彼と会えるの?」
「そ、それはっ…」
「あれ?小日向さん?どうしたの、こんな所で…」
声の方を見ると、そこには昨日会った西島くんが居た。
(昨日の人だ…。)
「ど、どうも…。」
昨日、西島君に掴まれた手首を無意識に擦った。
「大丈夫?もしかして、痛む?」
そう言って、西島君が私に触れようとした瞬間…
「何してんだよ、お前。」
西島君の後ろから、松本君の声がした。