私と貴方を繋ぐ場所


「いいよ。少しだけ智花の事知れたし。」

「怒ってない?」

「こんな事で怒れねーっしょ。帰り道に黙ってた理由が俺の事考えてくれてたって事だし、考え込む癖も知れた。」

「よかった…ほ、と、よか、った…うぅ~」

あれだけ悩んでだのがバカバカしいくらい安心して、涙が溢れた。

「智花…」

松本君は私の名前を呼ぶと、そっと抱き締めてくれた。





あれからしばらく、松本君は私の事を抱きしめていてくれた。

予鈴が鳴り、私は松本君と別れ教室に戻ると、教室内は“あの松本が女子と抱き合ってた”と話題が持ちきりだった。

今まで知らなかったけど、私のクラスの女子からも松本君は人気らしく、女子たちは皆ショックを隠しきれない様子だった。

私が席に着くと、斜め後ろの席の女子が話しかけてきた。

「小日向さ~ん!聞いてよ~!隣のクラスの松本君に彼女出来ちゃったらしいの~!ショックだよね~!相手どんな子なんだろう?」

「さ、さぁ?」

さすがに、私です!なんて言えるわけもなく…。



3時間目の授業が終わり、休み時間になると
教室のドアの方から、松本君の声がした。

「マサ、歴史の教科書貸して」

「おー!噂の松本さんじゃーん!あ、ワリィ…お前のクラスの奴に貸しちゃってんだよ~」

「そ。じゃあいいや。」

会話の元の方を見てみると、松本君と目があった。

(わわっ!目、合っちゃった…)

「小日向さん、歴史の教科書貸して。」

「へ?あ、はい。……どうぞ」

「さんきゅ。借りる。」


そう言って、松本君が教室を出て行くと、
「なんで松本君が小日向さん知ってるの?」と女子たちから、質問攻めされた。










< 42 / 65 >

この作品をシェア

pagetop