私と貴方を繋ぐ場所
「あ。悪い、俺たちの事知ってるの成澤の他にも居る」
「ぇ……」
「あ~、言いふらすような奴じゃねぇから。智花のクラスの河本雅貴っての分かる?そいつ中学ん時からの親友っつーの?」
「ぁ、教科書の、ひと?」
「そうそう。あいつ俺と智花の事知ったから、変な気利かせやがって、教科書持ってんのに無いとか言いやがった。」
「そう、だったんだ……河本くん、凄いよね。クラスのムードメーカーで、いっつも中心に居る。素敵な人だと思う…」
「………、」
「…松本、くん?…ひゃっ」
不意に松本君に抱きしめられた。
朝とは違う。少し乱暴で苦しくなるくらいキツく抱きしめられた。
「あいつの事、褒めたりするな。素敵とか言うな。」
いつもより低くて、少し悲しそうな松本君の声。
と、同時に更に力強く抱きしめられた。
「ま、つ、…もと、くん…痛い…」
「!?…ごめん」
私が声をあげると、松本君はバッと体を引き離した。
「悪い。大丈夫か?」
「うん…。」
「ごめん、俺、独占欲強いかも。つーか嫉妬深いかも」
「へっ?!」
「智花が“河本くん”って言っただけでもすげーアイツに嫉妬したし、あいつの事、智花があんな可愛い顔して褒めてるの見たら…」
「ぇ?え?」
「俺、すげー智花の事好き。」
「っ!………」
昨日の今日で、まさかまた好きって言われるなんて思ってもみなかった。
(どうしよう、すごくドキドキする…)
きっと真っ赤になっているであろう顔を隠すために、俯いてしまった。