私と貴方を繋ぐ場所
「悪い、待った?」
そう言って松本君は走ってきた。
「ううん、大丈夫…」
「寒かっただろ?ごめんな…」
12月になり、元々寒がりな私はコートを着て、マフラー巻いて、手袋をしていても寒く感じた。
「松本君、…寒くないの?」
松本君は制服姿に首にマフラーを巻いただけだった。
「俺は平気」
そう言って、自転車通学の松本君は裏門の駐輪場から自転車を出した。
歩いて30分程の距離に松本君のお家はあった。
意外にも私の家からもそんなに離れていない所で、出身中学も隣だったことが分かった。
「おっきいお家…」
「そう?…入って」
門の外から見ても、ウチの倍の広さはあるのが分かった。
松本君が玄関を開けてくれて、私は中に入った。
「…おじゃまします」
すると、お家の奥からパタパタとスリッパで走る音が聞こえた。
「おかえりなさーい!あら!可愛い子!」
30代くらいの可愛い雰囲気の女性が出てきてそう言った。
「きゃ~!龍之介、彼女?彼女?」
「母さん、智花が驚くだろ」
(お、お母さん?!)
呆気に取られた私は、思わず固まってしまった。
「チカちゃんっていうの?や~ん、可愛い!」
松本君のお母さんはそう言いながら私に抱きついてきた。