私と貴方を繋ぐ場所
抱きついたままのお母さんを松本君は「離せよ」と言って私とお母さんと引き剥がした。
お母さんは納得のいかない感じで、「心が狭いわね」と言って私の手を握ってきた。
(はっ!ご挨拶しなきゃ)
「あの…は、初めまして…小日向智花と申します…!」
そう言ってご挨拶すると、松本君のお母さんは「可愛いわ~」と言ってまた私に抱きつこうとした。
あと少しで抱きつかれるという時に、松本君に「行くぞ」と手を引かれた。
お洒落な螺旋階段を上って、一番奥の部屋に着いた。
「入って」
そう言われて中に入ると、明らかに10畳以上ある広々とした部屋だった。
「こ、ここ…松本君のお部屋?」
「そ。」
大きな窓、ダブルベッドに3人は座れるだろうソファ、私が使っている勉強机とは比べ物にならないくらいお洒落でカッコいい横に長いライティングデスクにウチのテレビより大きな壁掛けのテレビに。
他にも大きな本棚には参考書をはじめ、小説なんかが所狭しと並んでいる。
「すご~い…」
「荷物は適当に置いて。ちょっと下行ってくるから、そこら辺座って待ってて」
そう言い残すと、松本君は行ってしまった。
「す、座って待っててって…言われても……」
どうしよう、とグルグル頭の中で考えていると、トレーにティーカップとお菓子を乗せた松本君が戻ってきた。
「どうした?座ってて良かったのに」
「あ…うん、」
「智花の好きなミルクティー。あと母さんの作ったクッキーだけど」
そう言って松本君はライティングデスクにトレーを置いた。