私と貴方を繋ぐ場所
「…覚えててくれたんだ」
「忘れるわけねーだろ。ほら、座れ。勉強始めるぞ」
松本君はそういうと、私をライティングデスクの椅子に座らせて、自分はパソコンデスクから椅子を持ってきて座った。
私は鞄から教科書とノートを出して広げた。
「で、分からない所は?」
「え、と…ここなんだけど……」
「よし、少し休憩」
そう松本君が言い、私は小さく伸びをした。
ふと時計を見ると勉強を始めて1時間経ったのを確認した。
「智花」
名前を呼ばれて振りかえると、松本君はメガネを外してソファに座っていた。
「智花、おいで」
(横に座れって意味、だよね?)
「う…うん」
松本君が勉強モードから甘い雰囲気になったのを感じた私は、少し距離を置いて隣に座った。
「智花」
私の名前を呼ぶと、松本君は私を抱きしめた。
「ぇ、ちょ…松本くん?」
松本君は私を抱きしめると、はぁ~っと大きく息を吐いた。
「やっと触れた」