いちばんの星 -side episode-


「彼はこの国の近衛隊長で…俺の大切な友だ。

彼のおかげで、俺は彼女と結婚する事ができた…」



再びヴェルヌが話し始めた。



「神の前で、彼も誓いを立てたいらしい。

皆…聞いてやってほしい」



静まり返ったその場所で、全ての人間の視線がふたりに注がれている。



あまりの事に、ラナは俯いてしまう。



そんなラナの手をスティークは再び力強く握ると、そっとその名を呼んだ。



「ラナ、俺を見て」



スティークの言葉に、ラナはゆっくりと顔を上げた。



自分を見つめるスティークの瞳に、吸い込まれるような感覚に陥る。



まるで、そこには二人しかいないような…そんな不思議な感覚だった。



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