いちばんの星 -side episode-
こちらに体の方向を向けたスティークの腕を、女性が掴んでいる。
何か言っているようだったが遠くてよく聞き取れなかった。
よく見ると、女性はドレスを着ており長い髪が風に靡いている。
(綺麗な、人…)
よく顔は見えないが、雰囲気でラナはそう思った。
その時、これまでこちらに体を向けていたスティークが突然髪の毛をくしゃくしゃと撫でると女性の方に向き直った。
(何だか…覗き見なんて…)
だんだんこうしている自分が情けなくなってきた。
それに…スティークが他の女性と話している所なんて、見たくない。
「…帰ろう」
そう呟いたラナが再びスティークの方に目を向けた時…
「嘘…」