いちばんの星 -side episode-


思わずラナは口元に手を当ててしまった。



なぜなら、スティークとその女性が抱き合っていたのだ。



抱き合うというよりも、抱きつかれたスティークが女性の肩に手を置いているというような形だったが、今のラナにはそんな事はどうでもよかった。



(恋人…いたんだ…)



そのままラナは一目散に駆け出した。



どこに行くわけでもない。ただこれ以上あそこにいたくなかった。



「はぁはぁ…」



気付けば、ラナの瞳からは大粒の涙が零れていた。



(なんて馬鹿なの、私…)



あんなに素敵な人に、恋人がいない方が不思議なんだ…



涙を拭きながら廊下の角を曲がろうとした時、突然誰かにぶつかった。



「ご、ごめんなさい…」
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