いちばんの星 -side episode-


泣き顔を見られないようにすぐさま立ち去ろうとしたラナの腕を、相手の手がぐっと掴んだ。



「ラナ?」



聞き覚えのある声にラナがゆっくりと顔を上げた。



「ミュリエル…」

「あなたの場所を聞いたらここだって…ラナ、どうしたの?」



ミュリエルのその言葉に、ラナは思い切りミュリエルの胸に飛び込んだ。



「ミュリエル…」



目の前で泣き出すラナを、ミュリエルはそっと抱きしめた。



スティーク様のあんな姿…見たくなかった…



見たくなかったよ…



そのまま暫くの間、ラナはミュリエルの腕に抱かれながら泣いた。
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