いちばんの星 -side episode-


「すみません」



席に着くと、正面に座る男性に向かって優しく微笑みかける。



「いいえ」



そう言ってにこりと微笑む男性――エバンはラナのグラスにワインを注ぐ。



「あっ、すみません」

「…さっきから、謝ってばかりですね」

「え…?」



エバンのその言葉に、思わずラナは目を丸くする。



この店に来たのはほんの数時間前、もちろんエバンと会ったのも今日が初めてだ。



「そう…ですか?」



ラナのその言葉に、エバンは再びにこりと微笑んだ。



「ええ。今日は貴女が謝る姿しか見ていない気がする」
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