いちばんの星 -side episode-


エバンは貴族の出であるらしく、その顔立ちにも育ちの良さが表れている。



肩にかかるくらいの長めの真っ直ぐな髪に、優しい瞳。



ラナよりもいくらか年上だが、容姿は気品溢れる好青年だ。



「緊張、されてます?」



細く長い指でグラスを持ち上げながら、エバンの瞳がラナを見つめる。



テーブルの上にはたくさんの料理が運ばれているが、ラナはほとんど手を着けていない。



「…はい」



気分が乗らないとはさすがに言えず、とっさにラナはそう答える。



そんなラナを見て、エバンはふっと笑みをこぼした。



「…食事も進まないですよね。こんな無理やりな事」

「えっ?」
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