いちばんの星 -side episode-


エバンのその言葉に、ラナはドキリとする。



「自ら進んで意気揚揚と来た、というわけではないでしょう」

「……」



黙ったまま、ラナは俯いてしまった。



見透かされていたという事に対する動揺と、エバンに対する申し訳なさで、顔をあげている事ができなかったのだ。



そんな時、



「ラナさん」



ラナの耳に、優しいエバンの声が響く。



「私も…初めは気が進まなかった。親が勝手に決めた事に、怒りさえ覚えた」

「……」

「でも…今は違います」

「え…」



ラナは、ゆっくりと顔を上げる。



「今は、来てよかったと思ってる。貴女に…出会えたので」



そう言って優しく微笑むエバンに、思わずラナは目を奪われていた。

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