いちばんの星 -side episode-


店を出てからも、スティークはラナの手を離すことはなかった。



「スティーク様っ」



初めは訳が分からずされるがままになっていたラナだったが、次第に状況を把握し始める。



「スティーク様!離してください!!」



どんどん進んでいくスティークの背中に向かって、ラナが大きな声をあげた。



ラナの大声にやっと立ち止まったスティークは、ラナの手を離すとゆっくりと振り向いた。



「ごめん」



そう一言だけ言うと、スティークは再び城に向かって歩きだした。



『ごめん』たったそれだけの言葉…



「待ってください!」



気付けば、ラナはスティークにそう叫んでいた。


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