いちばんの星 -side episode-


「どうして…どうしてそれだけの言葉しか言ってくださらないのですか?」



ラナのその言葉に、僅かだがスティークの瞳が揺れた。



「どうして…」



私を連れ出したりしたの…?



ラナの心境は複雑だった。



もう諦めたはずだったのに…



スティークの行動に、何かを期待してしまっている自分がいた。



しかし…



「……」



何かを紡ぎだそうとして開かれたスティークの唇が、言葉を発する事はなかった。



スティーク自身も、自分がした行動に驚いていた。



ただ会いたかったんだ…



ラナの事をヴェルヌから聞いた瞬間…



スティークの足は街へ向かっていた。



一軒一軒、外からラナの姿を探した。



やっと見つけた君を…この手で奪いたいと思ってしまったんだ…



< 59 / 107 >

この作品をシェア

pagetop