いちばんの星 -side episode-
そんなミュリエルの姿を見て、ラナは観念したように微笑んだ。
「じゃあ、お願い」
「ええ。待ってて」
そう言うと、ミュリエルは部屋に用意してあるポットを取りに歩き出す。
ミュリエルの部屋は、とても未来の妃とは思えないくらいにシンプルだった。
着ている服も、ドレスは着ているもののそれほど着飾っているといった感じではない。
(ミュリエルらしい…)
ラナは素直にそう思った。
本来ならば、使用人の自分が軽々しく部屋になど入れない。
しかし、ミュリエルは昔と変わらず接してほしいとラナに言ったのだった。