いちばんの星 -side episode-
「明日からは城へ向かって出発です。国王陛下もお待ちでしょう」
「…そうだな」
スティーク達は、サヴィアーノの同盟国の内紛を抑えるために城を出た。
本来ならば、隊長であるスティーク自身が赴く必要はないのだが、まるで現実から逃げるように戦いへと加わったのだ。
「君…ちょっと時間ある?」
突然振り返り微笑みを浮かべるスティークに、兵は少し驚いた表情を浮かべるが「はい」と小さく返事をした。
「なら、付き合ってくれるか?」
そう言うと、スティークはコップに酒を注ぐと自分の隣に置いた。
まさかスティークに酒を勧められると思っていなかった兵は、慌てて隣に腰掛けた。
近衛隊長であるスティークは人望が厚く、その整った容姿から、兵達ですら憧れの気持ちを抱いているのだ。