いちばんの星 -side episode-
「名前は?」
「グ、グリンと申しますっ」
すっかり緊張しきった様子のグリンに、スティークは軽く笑みを浮かべると再び視線を目の前の炎へと向けた。
「グリン…君は、誰か思っている人はいるのかい?」
スティークのその言葉に、「えっ」と驚きの声を上げながらとっさに視線を向ける。
その時、おもわずグリンは言葉を失った。
炎に照らされたスティークの横顔が…あまりにも美しくて…そしてあまりにも切なげで……
「俺は、」
グリンは再び視線を手元に落とすと、ポツリポツリと話し始めた。
「付き合ってる人がいたんですけど…」
「いた?…って事は…」
スティークのその言葉に、グリンは力なく微笑んだ。
「結婚間近だったんですけど、喧嘩してしまって」