いちばんの星 -side episode-
好きだと言って…
――――――
「城を辞めようと思ってる」ラナにそう言われたのは、ヴェルヌとの結婚が一ヶ月後に決まった日の事だった。
ヴェルヌにラナが結婚するかもしれないという話をしてからもう何日もたっている。
もしかしたらヴェルヌがスティークに話してくれるのではないかと淡い期待をしていたミュリエルは、小さくため息をついた。
スティークが遠征から帰ってきたのはつい数日前。
直接話をしたいと、何度も会いに行こうとしたが、ミュリエルもまた式の準備に追われなかなか時間がとれなかった。
「どうした?浮かない顔して」
ソファーに腰掛けるミュリエルの肩を優しく抱き寄せると、ヴェルヌはミュリエルの隣に腰を下ろした。