いちばんの星 -side episode-
「私は…今でもラナはスティーク様を思っているのだと思っています。
それなのに、こんな…」
そう言うミュリエルの瞳が僅かに揺れていた。
「ミュリエル…」
そのまま、ヴェルヌは優しくミュリエルを抱き締めた。
「俺だって、あのふたりが両思いだってわかってるさ。だが…」
まさかスティークがあそこまで悩んでいるとは…
「…スティークにはラナが結婚する事は伝えた」
「え…」
おもわずミュリエルはぱっと顔を上げてヴェルヌを見つめた。
「ここまできたら、後はふたり次第だ」
「……」
そのまま、ミュリエルはヴェルヌの腕の中で静かに目を閉じた。
ラナの幸せを、願いながら…