いちばんの星 -side episode-
――――――
「よっ」
いつものように、隊の訓練を終えたスティークがヴェルヌのいる公務室へとやってきた。
少し長めのふわふわとした薄茶の髪を束ねたまま、スティークはドカリとソファーに腰を下ろした。
ソファーはスティークの特等席だ。
よくこうして公務室へ訪れるスティークは、ソファーに座りヴェルヌと話をするのが習慣だった。
「隊のやつが残念がってたぞ。ミュリエルちゃんが結婚するって」
そう言うと、スティークは手で泣きまねをする。
それを聞いて、机に座り黙々と公務をこなしていた国王ヴェルヌは、その美しい口元を引き上げ妖艶に微笑んだ。