いちばんの星 -side episode-
「嫌だ」
しかし、スティークはそのままラナを抱き締めていた。
ラナがどんなにあがいても、その力が緩むことはなかった。
「どうして…スティーク様…」
ラナの瞳から溢れるたくさんの涙が、スティークの服を濡らす。
「ラナ、行くな…」
「え…?」
絞りだされたその声は、ラナの耳にしっかりと届いていた。
「行くな」
何度望んだ事だっただろう…
「スティーク様…」
けれど……
「もう遅いんです…」
私はもう…あなたの下へは戻れない……
「私…結婚するんです」