いちばんの星 -side episode-
「それは残念だったな。あいつは俺のものだ」
そう言って自信満々に微笑むヴェルヌに、思わずスティークも微笑んだ。
(幸せそうに笑いやがって)
幼い頃から年下のヴェルヌを弟のように可愛がってきたスティーク。
本気で愛する事を忘れてしまっていたヴェルヌが、人を愛することを思い出したのはミュリエルのお陰…スティークはそう思っていた。
「で、愛しのミュリエルは?」
「今はラナと一緒だ」
何気なく聞いた質問の答えに、意外な人物の名前が出た事で僅かにスティークは反応した。
「ラナと…一緒か」
そう呟くように言うと、スティークはその長い足を組み直した。
「そういえば、お前とラナも知り合いだったな」